2008年10月23日

中国金融界の企業誘致戦術

中国の政府は、ある産業を誘致する際に、かなり積極的な優遇措置を設けます。

ソフト産業に対して大連市が制定している「二免三減(利益が出た最初の2年は免税、後の3年は法人税半額)」はその代表的な例の一つです。

以前訪問した黒龍江省のある都市では、
・1000平米ものオフィススペースを一年無料、後の三年半額で賃貸する
・外貨の売上から人民元への換金時に、1元換金するごとに0.1元支給する
などという、凄まじく太っ腹な制度もありました。

この夏には、新たに北京、上海、深センにおいて、金融業界の誘致のためのインセンティブ制度が発表されました。

対象は証券会社、銀行、保険会社といった金融企業ですが、それぞれの都市の代表的な優遇措置を記します。(参考:プライスウォーターハウスクーパーズさん発行のBusiness News Flash 9月号)

上海
・シニアエグゼキュティブに対して、最大20万元の住宅補助金。
・シニアエグゼキュティブに対して、最大40%の所得税還付。

深セン
・詳細未発表。

北京
・金融セクターに大きく貢献した者に対して個人所得税の免除。
・不動産や車の購入、または専門課程の研修費用として、30万元又は納付済みの個人所得税80%のいずれか少ない金額の還付。

これまた凄まじく太っ腹です。

面白いのが、企業誘致をしたいはずですが、インセンティブがほとんどそこに従事する個人向けになっているところです。

結局稟議を通すのはそこに直接関わる人間だから、ということなのか、より有能な人材を獲得できるようにという配慮なのか。

日本も少しはこういった点は見習って、海外や地方からより積極的に優秀な人材を集める工夫と努力をしても良いと思います。

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2008年10月21日

中国大連の人件費事情

中国大連市の人件費事情について紹介します。

中国の急速な経済成長に合わせて、人件費も相当な高騰を見せているんじゃないかとよく聞かれます。
今回はその辺の話を少し。

中国大連市における中国人人材には、業種や経歴によって、これといった「相場」のようなものがないのが特徴です。

同じ学歴で、同じようなスキルを持った、同じように積極的な人材同士でも、入る会社が違えば、その待遇は何十パーセントから時に何百パーセントも違うことがあるのが中国大連の状況です。

留学経験者とそうでない人材との間では、同じ20代なのに給与が10倍違うことすらあります。

ですから、上がっている人たちの給料は、相当上がっています。

一応市全体の平均給与というものはあるのですが、これは業種や経歴によって大きく差がありすぎるため、この平均値はあまり参考にならないでしょう。

ちなみに2007年度の平均給与は2400元程度(4万円弱)です。

この平均値も年々緩やかに上昇しているのですが、特別高学歴というわけではない若手の人材に限って言えば、そんなに給与は上昇してないというのが私が持っている実感です。

これはBPO業務において主力となる人材層の話にもなりますが、人材市場において特別な競争力を持たない人材は、まだまだかなり低い給与水準にあります。

主な要因の一つに、職を求めて給与水準の低い地方から流入してくる若い人材との競合があります。

弊社がこういった人材を中心に採用しているという意味ではありませんが、こういった人材が、人材市場全体の給与水準に対して下げ圧力となっていることが考えられます。

加えて、2008年1月1日から施行されている新労働契約法の影響も考えられます。

人材を従来よりも長期で雇用していくことも考えなければならない企業は、その社内の昇給水準を長期的に見て抑えていけるように動いたはずです。

従来は短期雇用が中心だったので、その期間内に出世意欲を発揮してもらえる給与・昇給体系を作っていたはずですから。

中国都市部の景気と経済成長には凄まじいものがありますが、こういった下げ材料もあって、よく日本で質問されるほどには、人件費は高騰していない状況にあると思います。

タグ:大連 中国 人材

2008年10月16日

中国で働く日本人たち

前回の記事に関して、別の視点でもう少しだけ。

前回紹介したダイアモンドオンラインの記事は、ビジネス的な存在価値が曖昧な人々を批判する内容でまとまっていますが、一方で、中国に来ている日本人の多くが、ビジネス的な存在価値やキャリア形成を重視する価値観とは違う価値観を持っているという点には言及していません。

日本人が中国で増えているという現象は、雇用を求めて人々が海外に流れた結果と見ることもできますが、一つのライフスタイルの発生とも取れるのではないでしょうか。

今日本の人々は、別に日本で就職することにこだわる必要がないのです。

東京都の一般の求人誌を見ていても、地方の大学の求人掲示板を見ていても、中国での採用案件はありふれたものになっていまし、海外で暮らすことに関する情報も、ネットの発達によって十分に得ることができます。

そんな一つの選択肢として、人生のある時期を、異国で過ごし、異国で働きながら、友人を作り、文化を知り、ある日また別の場所へ行く。

今の状況は、こういうスタイルが実行できる環境が整ったというだけに過ぎない、と見ることもできます。

実際、私の周りには、のんびりと、それでいてとても楽しそうに、中国での生活を営んでいる人々もいます。もちろんその人たちも、労働と納税の義務は果たしているわけですから、誰に文句を言われる筋合いもないでしょう。

工場やソフト開発だけでなく、生計を立てる場所という意味においても、グローバルに考えられる時代だということ。

そしてそこで生きるための雇用が成立するのは、そこにその人材ニーズがあるからです。このニーズにこそ実は問題意識を持っていますが、それはまた別のエントリーで。
タグ:大連 中国 人材
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2008年10月14日

中国にいるダメ日本人?

中国で活躍する多くの日本人の友人を持つ自分にとって、下記記事のタイトルは刺激的に過ぎるのですが、ちょっとお時間を頂戴して、是非一読頂きたい。

「勤勉有能な日本人観が中国で逆転! 上海で増殖する“ダメ日本人”たち」 - Diamond Online
http://diamond.jp/series/china_report/10009/

・・・

・・・

読んで頂けましたか?

この記事でベースになっている現象は、下記段落に端的に記されています。

===
上海には日本人向けの特殊なポジションがある。学歴不問、専門能力不問、語学不問という「日本人職」だ。筆者も上海で勤務をしていた頃、人材紹介会社から3つの不問、つまり“3F”人材をたくさん紹介してもらった。これらの層は想像以上に厚く、「日本人」のみで採用が決まる上海には、常に絶え間なく半端な若者が流れ込んでいることがわかる。
===

私が知っているのは主に大連市の状況ですが、大きくは違っていません。

そして、この記事の筆者のレポートしている内容も、多少偏っているとは思うものの、大枠として、私の実感とも一致する部分が多いのも事実です。

私もこの3年半の間に少なくない数の日本人を面接してきましたが、目的意識が曖昧・希薄と感じた人材がとても多かった。この記事にあるような半端な印象は否めません。

中にはもちろん一緒に仕事がしたいと思わせられる人、情熱を持って夢に向かっている人も沢山いました。

しかし、多くのケースで、「この人はこのまま中国で過ごして、どうするつもりなのだろう」と思わずにはいられなかったのです。


以前、オフショア開発専門コンサルタントであるアイコーチの幸地社長に、こんなことを言われたことがあります。まだ大連で起業したばかりの頃で、自分の事業を上手く人に伝えられなかった頃です。

「三好さんはどうして中国にいるの?日本人が中国にいても迫力がないし、期待も持てないよ。今も、将来も。」

とっても厳しい言葉でしたが、幸地社長の言わんとしている意味はすぐに分かりました。

野心ある若い中国人が日本で努力している姿を見れば、その人物がいずれ本国に戻り、学んだことを基にして大きく飛躍する姿がイメージがもてます。

現に、このパターンで数々の実業家が中国で生まれています。

しかし、逆のパターンはあるのでしょうか。中国で得たものを、中国から見て先進国である日本に持ち帰って、その日本で大きく活躍するケース。無いとは言いませんが、なかなか想像が難しいものがあります。

私はキャリア形成が目的でも、日本に何かを持ち帰ることが目的でもなかったのですが、外国で働く意味というものを考えさせられました。


私なりの結論はこうです。

日本人が外国で働く最大のメリットは、自国との違いを肌で体感し、自国のあり方を相対的に見ることができる点です。

日本にいるだけでは、なかなか常識を疑えない。相対的に自国を見ることができれば、これによって、あるべき姿や、非合理的な暗黙の了解や常識の存在に気づき、グローバル時代に相応しい価値感覚やバランス感覚を持って物事にあたることができるようになる。

こういう人材はとても貴重だと、今後の日本にもっともっと必要な人材像だと、私は思います。

ですから、自らの人材としての価値向上に関心があり、いずれは日本に帰国することも考えている人は、このことを意識しながら中国でのキャリアを磨けるかというのが一つのポイントとなると思います。

<追記 2008/10/16>
この記事の続きを
http://blog.huojin.com/article/108114097.html
に書きました。
タグ:中国 人材 大連
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2008年10月06日

中国の情報開示制度

中国政府がまたとんでもない暴挙に出てきています。

(9/25)中国のIT情報開示制度、日米欧の経済界が懸念表明へ- Nikkei Net
http://www.nikkei.co.jp/china/news/index.aspx?n=MMCHc1007025092008

今、中国政府が導入を進めようとしているのが、「ITセキュリティー製品の強制認証」と呼ばれるもので、その内容は恐るべきものです。

なんと、「基本ソフト(OS)一体型の製品」「ネットワークの監視システム」など13分野に関わる製品のソフトメーカーは、中国市場への進出に際して、そのソースコード(設計図)を開示するように求められているのです。

さもなければ、中国市場への進出を認可しない、という、自国の市場の強さを盾に、かなり強気の制度です。

これはとんでもない法制度です。

政府へ公開するということは、中国企業へ公開することとほぼ同義です。
中国で有力な企業が、政府と密接な関わりを持ちながら事業を進めていることは、暗黙の了解事項です。

これでは、知的財産保護も何もない、あまりにもあからさまでいやらしい手段で、他国の知的創造物を掠め取ろうとしているようにしか見えない。

諸外国から、中国人民の知的財産保護に対する意識の低さを常に問題視されていて、中国政府は自国の発展のためにも知財保護に注力していかなければならないと、自らも語っているにもかかわらず、国単位でこういう動きをしてしまう。

なんとも残念でなりません。

労働契約法の改正も凄まじい内容ではありましたが、少なくともあの法律では人民の生活を守ろうという大義がありましたが(その長期的な効果については大きく疑問がありますが)、今回の法制度には何の正当性も見当たりません。

何より、このような不合理が許されるような市場では公平な競争など成り立たない。
市場原理に照らしても、中国に害を成す制度にも成りかねません。

中国は本当に世界からの尊敬を集める国家になろうと思うなら、こういった厚顔無恥且つ短絡的な行動で、自らを貶めるべきではないと思います。

タグ:中国の法律
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2008年10月02日

フェアトレードは誰のためのビジネスか。2

前回の記事の続きです

フェアトレードというビジネスは、調達価格、環境、人権を守るのに必要なコストを負担できる豊かな層に対して、富の再分配による社会正義への貢献という価値を提供していることになります。

顧客(世界的に見れば富裕層に属する)は、コレに対してお金を払います。

これが、フェアトレード団体が支援したいと願う人々に対して行なう活動の、活動資金源になっています。


これは、所謂「富のピラミッド」の頂点に位置する少数の人々の中でもさらに少数派を対象にした、非常に狭いマーケットを狙うビジネスモデルということです。

彼らのニーズに応えるために、適正な価格で、適正な方法で、その商品を製造、調達することができ、その周辺に適正な雇用を生み出すことができますが、それはピラミッドの底辺(BOP - bottom of pyramid)を締める巨大な人口(40億人程度)から見て、極めてわずかな雇用しか生めません。

そしてこれは、自然発生的に広がっていき辛い仕組みになっています。(前回の記事参照)


こう考えるようになったのには、きっかけがありました。

実は、この「富の再分配」という発想では、そこまで大きな効果を得られないという問題は、弊社のビジネスから時折感じることでした。

弊社フオジンの理念の一部に、先進国で国際分業を進めながら、発展中地域での雇用を創出するという側面があります。(参考:フオジンの理念 http://www.huojin.com/mission.html )

ただ、先進国から移転されてくる富や雇用は、確かに現地に多くの雇用を作れるのですが、それはそこで必要とされている働き口の数からすれば、本当に微々たるものだと気づきました。

また、先進国側で、分業の必要性を訴えて訴えて、ようやく現地で雇用が生まれるので、これもやはり自然発生的に広がり難い。

理想と現実とのギャップにぶつかった瞬間でした。
(このギャップとどう向き合ったかは、また別の話題になるので、いつか別途エントリーを書きます。)


フェアトレードが取り組むBottom of pyramidの世界でも、貧困が広がる速度は、人口の増加に伴い必要とされる職が足りなくなっていく速度は、富が流れ込む速度を遥かに上回っているそうです。

フェアトレードが、貧困が広がる速度を超える速度で成長できなければ、貧困をなくす手段にはなりえないのです。

では、フェアトレードは無意味なのかというと、全くそんなことはありません。

外科医が一度に一人の患者しか助けることができず、100万人の病気を治すことができなくても、外科医の仕事の素晴らしさが色褪せるわけではないのと同じです。


フェアトレードは、確かに多くの人を貧困の悪循環から抜け出る手助けを可能にし、何より、先進国の恵まれた人たちに対して、社会に貢献する機会を与えてくれます

このポイントが、フェアトレードが求められている真の理由、フェアトレードならではの存在意義だと思います。

つまり、今の世界では、先進国の豊かな人々というのは、「何か世界の役に立つことがしたい」「格差や貧困というものに知らぬふりをしていたくない」という価値観が広がってきています。

いわゆる、ノブレス・オブリージュの精神が、先進国の一般の層に浸透してきています。


そんななか、かつては寄付やチャリティという手段でその価値観を満足させてきたところ、寄付では問題の根本解決には至らないという認識が徐々に広まってきたこともあり、寄付に代わるより根本に近いところで問題を支援する機会が求められきました。

そういう人々の問題意識をさらに高め、そしてその意識に応える。これがフェアトレードのサービスの中身と言えないでしょうか。

結果としてはじめて、フェアトレードを主催する団体などが望む支援的な効果を発揮できます。

フェアトレードは、もっとこの点を全面に押し出しても良いのではないかというのが私の意見です。


そして、私が前回の記事で、フェアトレードの存在意義の位置づけがズレているのでは、と書いたのはこの点のことです。

つまり、フェアトレードは、MDGsの達成に貢献するというような、世界的な貧困に取り組むビジネスと位置づけるよりも、豊かな時代ゆえに生まれてきた、「社会貢献したい」という新しいニーズに応える存在と位置づけるほうが、その実際に即しているのではないかと。
(女性の参加や、持続可能な製品づくり云々の部分はMDGsとマッチしているが、大きな潮流になりにくい)

フェアトレードはそれ自体が経済的に優れた仕組みなのではないので、意識的に多大な努力を払ってムーヴメントにしなければ広がれません。無理があるから、無理をしないと広がらない。ロハスや、動物愛護運動のようなものに近いのかもしれません。


では、何が世界的な問題に取り組める手段なのか。
根本的に問題に取り組み、且つ大きな広がりを期待できる手段とはどういうものか。

結論から言ってしまえば、以前「貧困層に購買力は無いか。」というエントリーで書いたようなことなのですが、これについてはまた別のエントリーで整理して書きたいと思います。

posted by miyohiro at 17:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネスコレクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月01日

フェアトレードは誰のためのビジネスか。1−サフィア・ミニーさんへ

前回、フェアトレードというビジネスを紹介する記事を書きました。


今回は、先日サフィア・ミニーさんという、前回の記事でも紹介した日本のフェアトレードの第一人者の一人とも呼べる方とお会いし、少し意見を交換する機会があったので、その際に思ったことを書こうと思います。

私が参加したのは、サフィアさんが、サフィアさんの事業と支援しているバングラデシュのアパレル工場の事業を紹介するセミナーのようなものでした。その時の様子を、サフィアさんご本人がブログに書いています。


http://www.peopletree.co.jp/cp-bin/blog/index.php?eid=67


この記事でも触れられていますが、サフィアさんたちは、フェアトレードがMDGs(ミレニアム開発目標)の達成に重要な役割を果たすと述べています。


外務省ウェブサイト MDGs(ミレニアム開発目標)とは:
http://www.mofa.go.jp/Mofaj/gaiko/oda/doukou/mdgs.html



この場の質疑応答で、自分も質問させてもらったのですが、会場の使用時間が過ぎてしまい、回答を得られないまま終了してしまいました。


回答は、ブログで書くからと言われ、実際に書いてくださったのが上記の記事です。


ただ、その時はブログの記事を待てず、他にも聞きたいことがあったので、帰り際にサフィアさんを捕まえて、10分ほど意見交換の時間を頂きました。


後で詳述しますが、フェアトレードというビジネスモデルに対して、ある問題意識を持っていたので、それに対する意見を実際の実行者から聞きたかったのです。


サフィアさんのブログでも取り上げてもらった質問ですが、私の意図を端的に言うと、

「フェアトレードは少数の先進国の人々からお金をもらい、少数の貧しい人々を支援しているならば、世界の貧困に取り組むという大きな目標に対して、あまりにも効果が薄いのではないか」

ということです。


これに対して、サフィアさんは、


>小規模グループの継続的な支援を通して、生産者の活動の幅を少しずつ広げていくことができます。


>立場の弱い小規模グループの生産者に仕事の機会を創り出し、手仕事の伝統技術を活かした商品作りを通して、自立支援をする必要があるのです。


>そういった状況を私たちはただ気の毒に思うのではなく、行動に移して、貧しい農民やそういった人びとを支援する団体から商品を購入することによって支援できるのです。


と、このように答えています。


言うまでもなく、これは素晴らしい取り組みです。私も憧れる、フェアトレードの真髄です。


しかし、私の疑問とは、こういう取り組みを行なっているということを知った上でのものなのです。


こういう取り組みで貧困から脱することができる人々もいる。


しかし、それができるのは、こういったフェアトレード団体に手を差し伸べられた人々だけなのではないか。


最初は少数の人しか支援できなくても、いずれは大きな人数に対して大きな影響力を持っていくという考えなのでしょうか。



しかし、フェアトレードというモデルにおいて最も問題なのは、それが「経済的に合理的ではない」という点です。
経済的に合理的でないものが、広がっていくことはとても困難です。


まずフェアトレードの負の側面として、買い付けにおいてフェアトレードがすることというのは、言ってしまえば人為的な価格維持です。

価格維持によって守られる産業は長期的に需給バランスへの対応力を弱め、競争による改善インセンティブを弱め、しいては市場の中での競争力が弱まっていくというのが、市場原理というものです。


そして消費の観点から言えば、そもそもなぜ、人々がわざわざ安くない値段のフェアトレード製品を買うことになるのか。


サフィアさんは「本来支払われなくてはならない環境コストや、人権を守るためのコストを、これからの消費者は負担しなくてはならないのだから、単純に高いというわけではない」と反論されました。


しかし、必要なコストを含めなくてはならないから高くてもいい、というのであれば、世の中の製品やサービスというのは際限なく高くなっていくだけです。


それでは、売れるものも売れなくなってしまうのではないでしょうか。

通常の企業であれば、新しい価値を生み出しつつ、価格が上がらないような努力をするのではないでしょうか。


フェアトレードで言えば、「環境コストも人権コストも含んだ、なのに、従来よりも断然安い。」こうなって初めて、「イノベーション」と呼べる気がします。


もしこういったイノベーションが無く、意義のある消費という点だけが魅力となり、従来よりも高い価格で買っても良いと思える層というのは、世界を見渡して、どれほどいるのでしょうか。


貧困という問題の巨大さを考えると、悲しいことにこれはとても小さなパイであり、そこから集められるお金の量では、手を差し伸べられる範囲の人々しか支援できないのではないか、というのが私の見方です。



誤解の無い様に言いますが、私はフェアトレードそのものは支持しています。

ただ、その意義の位置づけがズレているのではないか、という(瑣末と言えば瑣末な)問題意識を持っています。


長くなってしまっているので、フェアトレードの特徴や、それをどう捉えるかという問題を整理した記事をまた書こうと思います。

 
<追記 2008/10/02>
この記事の続きを
http://blog.huojin.com/article/107473363.html
に書きました。
 
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2008年09月26日

フェアトレードというビジネス

フェアトレードというビジネスがあります。

生産者の利益に立った、従来の貿易とは少し違う考え方で商品の買い付け、
流通、販売を行なう貿易形態です。

詳しくは、上手に解説をまとめたサイトがあるのでそちらを参照して頂くとして、

簡単にまとめると、

フェアトレードの特徴とは、

・生産者の生活を守るために、通常の貿易よりも大きな額で買い付けをする。

・子供の不正就労を認めなかったり、女性の雇用を積極的に創出したりと、人権と
弱者の雇用を保護する。

・長期的に生産が可能であるように、環境保護の観点を入れた生産方法など、
持続可能な生産体制を築くことを目指す。

・店頭に並ぶ際には、それがフェアトレードの産物であることが明示される。

というような感じです。世界の歪んだ格差に取り組む解決手法として、普及が期待されています。

解説サイト:
All About -アンフェアは誰?フェアトレードを知ろう!
http://allabout.co.jp/family/volunteer/closeup/CU20060426A/index.htm

わかちあいプロジェクト -フェアトレードとは?
http://www.wakachiai.com/shop/fairtrade.html

ウィキペディア -公正取引
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E6%AD%A3%E5%8F%96%E5%BC%95


フェアトレードによって届けられている製品は、今では結構目にします。

スターバックスやイオンなどで、少し前から普通のコーヒー豆や紅茶に紛れて並んでいるのを
見たことがある人もいるのではないでしょうか。


また、日本のフェアトレード界の中でも特にキャッチーな方々がそれぞれ本を出して注目されたので、
それによってフェアトレードの認知が少し進んだというのもあると思います。

People Tree社のサフィア・ミニー社長
「買い物で世界を変える」 People Tree ウェブサイト
http://www.peopletree.co.jp/


マザーハウス社の山口絵理子社長
株式会社マザーハウス ウェブサイト
http://www.mother-house.jp/


フェアトレードをオシャレと結びつけ、若い人々の関心を集めた功績は大きい。


簡単にフェアトレードを紹介しましたが、フェアトレードという世界がもたらすものの本質はこうです。

フェアトレードは、自分のお金を何に使うのか、消費という意思表示で、どんな責任を果たすのか。
それを消費者に問いかけるビジネスです。

1000円の普通のコーヒー豆と、1200円のフェアトレードコーヒー豆が並んでいる時に、
どちらを買うのか。

前者のコーヒー豆が、労働者の搾取と人権侵害と、環境破壊の上に成り立っているとしたら、
200円多く支払ってフェアトレードコーヒーを購入することで、生産者と環境を守るコストも負担する、
そういう意思表示を行なうことなのです。


私は、学生の頃このビジネスを初めて知った時、あまりに感動して、将来は必ずフェアトレードの
事業を自分で興して実践すると決めたほどでした。

現在行なっている事業を起業した際も、フェアトレードに少しでも繋がる事業がしたいと考え、
また成功したらその資金でフェアトレードを始めるのだと思っていました。

しかし、最近ちょっと違う考えを持っています。

これについて、また別途エントリーを書きたいと思います。

<追記 2008/10/01>
この話の続きを
http://blog.huojin.com/article/107410207.html
に書きました。
 
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2008年09月24日

大連の遊園地、「発現王国」

フオジンの大連法人では、福利厚生の一環として半年に一度、費用は会社持ちで遠足のような行事を催します。

今回は、「発現王国」という、大連市郊外にある中国屈指(?)のテーマパークに行きました。2年前も同じ時期に同じ名目で行きました。
(発現王国の「発現」とは、日本語では発見という意味で、英語名はDiscovery Landとなっています)

残念ながら私自身は所用で参加できなかったのですが、社員の皆さんとしてはそのほうが逆に羽を伸ばせたかもしれません(笑


この遊園地、事業立ち上げと運営には、韓国のサムスンエバーランドがコンサルティングを行なったそうです。

韓国新聞−エバーランド、中国のテーマパークにノウハウ輸出
http://www.wowkorea.jp/news/Korea/2006/0717/10011544.html

デザインも、ディズニーランドの設計を手がけた所が携わったという話もあり(このエントリーを書くにあたり簡単に調べようとしまいたが、ネット上をざっと見た限りではソースが見つけられませんでした)、かなり本格的なテーマパークであはあります。

私が二年前に行った時には、パークの中には平然とディズニーグッズが売られていたり、着ぐるみのキャラクターが平然と清掃スタッフと話しを交わしていたり、ちょっと微妙なとこもあったりしましたが・・・ 社員の間ではお気に入りのようなので、現地の人々には受け入れられているようです。


大連市政府は、このほかに近隣に世界レベルのゴルフ場や、別荘地、海水浴場、射撃場など、大規模なリゾート開発を展開しています。大連市をビジネスの街としてだけでなく、観光地としてもアピールしていきたいようです。


以下、今回の行楽の写真です。お時間があればどうぞご笑覧ください。

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2008年09月19日

2008年9月〜10月大連滞在日程

明日、9月20日より大連入りする、予定でした。

が、丁度成田を出発する時間帯に、台風がすっぽり成田上空に来ていそうな天気予報が出てしまいました。

WS000001.JPG
(画像 from weather news http://weathernews.jp/typhoon/ )

ので、成田まで雨の中行って欠航、となると大変なので、
明後日21日からの大連入りと先ほど変更しました。

今回は、11月上旬あたりまで大連にいることになると思っています。

その間に大連にいる人、来る人、是非ご連絡ください。

メールアドレス:miyohiro+blogあっとgmail.com
(「あっと」部分を半角の@マークに変えてください)
 
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2008年09月18日

ホームレスを無くすビジネス2

前回の記事で、ホームレスをビジネスの手法で減らす活動をしているロザンヌ・ハガティーさんを紹介しました。

今回は、ロザンヌさんと交わしたやりとりについて書きたいと思います。

前回の記事でも少し触れましたが、私の知人に、東京新宿でホームレス支援の活動をしている女性がいます。彼女が現在取り組んでいる活動は、着想と、事の本質が、ロザンヌさんの手法と非常に似通っています。

この方の紹介を、後日個別のエントリーで詳しく記したいのですが、とにかくその方が言っていたことでとても印象に残っていたことがありました。

それは、今東京のホームレス支援者の傾向は大きく二つに分かれていると感じること。

ホームレス問題そのものを根本的に解決したいと志向する人と、

ホームレス支援を自分のアイデンティティの表現にしている人。

彼女が日々様々な困難にぶつかる中で、感じていることだそうです。

そして時に、後者の人々が、必ずしも良き協力者となれていない現状があるようです。


そこで、この問題をロザンヌさんにぶつけてみました。

後者の人々も、本質的には善意の人々であるはずです。

では、どうすればそういった人々を、本来協力が必要な方向へ巻き込んでいけるのか。

ロザンヌさんも、やはり同様のことを感じながら、長い間悩みながら活動していたそうです。

例えば、彼女が直面した事例で、ある教会が、「教会の玄関前の階段でホームレスが寝ることができる権利を保証するように」と行政を訴えたそうです。

行政が、ホームレスの人々の立ち退きを強制的に行おうとしたことに対する対抗措置なのですが、ホームレスの人々を救うために、この教会の代表の女性は「路上で寝る権利を保証」しようとしてしまっているのです。

ロザンヌさん達には、この主張が本末転倒であることは明らかだったので、この女性に根本的解決の必要性と、それに対してどう動いていけばよいか、語りかけ続けました。

最後には、この女性は自身の方向性の歪みに気づき、どうしてもっと早く正しい方向性に力を注げなかったのかと、泣き出してしまったそうです。


こういった現象は「goal displacement(目標置換:目標達成の手段が目的そのものよりも重要になってしまうこと)」として知られているそうですが、

そういった人々に、「あなたは間違っている」と指摘することは良い結果を生まないとロザンヌさんは言います。

「そういう方法よりも、こういう方法を取ることで、このような結果が得られるよ」と、代わりに何ができるかを、粘り強く示していくことが重要だと、ロザンヌさんは感じているそうです。

どのように働きかけていけば、こういった善意の人々が力を発揮できるか、その仕組みを考えて整えていくことが重要です。


講演会の後には、交流会の場が設けられ、そこでもロザンヌさんと数十分に渡り意見交換をすることができました。

ここでも、東京新宿での取り組みや、そこで何ができるか、またはどういったことでその障害を乗り越えることができそうか、色々と意見を頂きました。

彼女が強調していたのは、大切なのは「Will to Politics」であるということ。

つまり、政治的に動くことを厭わず、適切な人物へのアプローチ、適切な場での政策提言など、単に理想を掲げるだけでなく、それを実行に移し、様々な企画に行政を巻き込んでいく政治力学の応用が、もっともっと必要だと言うことです。

確かに、日本には多くの志高い活動家が多くいるとは思いますが、政治・行政に食い込んでいけるほどの活動ができているところがどれだけあるか、まだまだ少ないように思います。

この点は、非常に得心のいくアドバイスであり、早速意識していこうと思うと共に、周りの起業家達にも伝えていきたいと思います。


このロザンヌ・ハガティー氏は、素晴らしく聡明なだけでなく、非常に謙虚で誠意的な方でした。想像を遥かに凌駕する、事業家としても一人の人間としても、心から尊敬に値する方でした。ちなみにこのロザンヌさん、写真で見るより何倍も美人だったのでちょっと驚きました。

現在、このロザンヌさんと、冒頭の東京新宿でホームレス支援を行っている女性を繋げて行きたいとやり取りを進めていますが、また何か進展がありましたらここでも報告します。

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2008年09月16日

ホームレスを無くすビジネス

先週金曜日、アメリカの社会起業家の旗手とも言うべき存在である、ロザンヌ・ハガティーさんの来日講演に出席してきました。

社会起業家についてのウィキペディアの記事↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E8%B5%B7%E6%A5%AD%E5%AE%B6

ロザンヌさんが代表を務めるNPO法人コモングラウンドでは、ほぼ廃墟となり犯罪の温床となっているような建物を買い取り、綺麗なマンションへリノベートし、ホームレスの人々が「収入の3分の1」という特殊な家賃体系で借りられる、という事業を展開しています。

ホームレスの人々に必要なのは、「ホーム」である、というロザンヌさんの信念を、自ら具現化した事業です。

この事業は、今多くの賛同と資金を集め、多くのホームレスを助け、多くの収益を上げている、非の打ち所のないビジネスへと成長しています。

コモングラウンド ウェブサイト
http://www.commonground.org/Japanese/

今回は、私の知人にまさに日本版ロザンヌ・ハガティーと呼べる(と私が勝手に思っているのですが)、東京新宿のホームレス問題解決に取り組む女性がいて、彼女の事業は思うように行っていないところがあるため、是非ともその元祖であるロザンヌさん本人に会って話がしてみたかったのです。

話の内容でとても印象的だったのが、彼女のビジネスモデルはたった一枚の紙で説明できる、というくだりでした。

その一枚とは、ホームレスの保護に行政やその他の団体が費やしているコストと、コモングラウンドが費やしているコストの比較のグラフです。

数字を失念してしまったのでウェブで探してみたところ、当日同じ講演に参加されていた方のブログにありましたので参考させて頂くと

病院に収容すれば年間40万ドル、
刑務所に収容すれば年間6万ドル、
市が提供するシェルターに収容すれば年間2万ドル
のコストになるところ、
コモングラウンドの方式では、年間1万ドル強で収まる、という内容です。

また、「ホームレスをホームレスでいさせることで発生している」コストが、ホームレスを無くすために必要なコストに比べていかに大きいかを示すデータもありました。

際立っていたのは、徹底的にデータで現象と主張を示し、説得力を持たせていたところです。
彼女のベースには、それは暖かい想いが流れていることが感じられるのですが、行政や金融機関との交渉の席に見せるのは、この徹底したビジネス思考なのでしょう。

この点が、ロザンヌさんが他の慈善事業やボランティアとは一線を画している要因の一つだと思います。


次回は、ロザンヌさんと交わしたやりとりについて書こうと思います。



ロザンヌさんの略歴:
(今回の講演の案内として送られてきたメールの紹介文及び画像を転載します。)


……………………‥‥‥‥‥‥・・・・‥‥‥‥‥‥……………………rosanne.jpg
◆Rosanne Haggerty
(Founder and President, Common Ground )


 ホームレスへの支援を通じて、地域社会の活性化に貢献するプログラムを独創的な手法で実現している、コモン・グラウンドの創業者、ロザンヌ・ハガティ氏。

 名門アマースト大学を主席卒業後、ニューヨークの教会で1年間ホームレス支援のボランティアをしていたハガティ氏は、このままでは問題の根本的な解決にはつながらないと考え、一つのアイデアを思いつく。それはニューヨークの中心、タイムズ・スクエアにある中古ホテルを改装し、ホームレスに安価で住居を提供、同時にヘルスケア、就業支援サービスを行うというものだった。

 何のバックグラウンドも資産も持たない氏は、その資金の融資を市に申請。粘り強い交渉の末、市長直々から融資の承認を受けたコモン・グラウンドの取り組みは、現在ではニューヨーク市を中心に他地域にも展開し、その規模は2000室以上に及ぶ。そして、最初に取り組んだタイムズ・スクエア周辺では、ホームレスが87%減り、同時に犯罪率も激減(殺人100%、窃盗80%減少)、安全な街として不動産価値も大きく上がり、地域に貢献するなど、大きな成果を生み出している。

 また、この取り組みのもう一つの側面は、その事業性。非常に快適な部屋や充実したサービスを提供しながらも、市がシェルターや刑務所、病院でホームレスを受け入れるコストよりも格段に低いコストで運営を実現。

 その一方で、年間収入1500万ドル(うち事業収入が7割)、収益118万ドルを実現している。上記の犯罪率の低下など、見えづらい活動の成果を数値化し、コミュニケーションすることで社会的投資を呼び込むという事業的方法論を用い、効率的な運営を進め、同時に、持続的に活動が行える体制を整え、社会課題をその根本から解決する活動を大きく展開する、まさに事業と社会性を融合させた社会起業家の好事例であるといえる。

 2000年以来、度々来日し、日本の社会や文化に特別な思い入れを持つ。

……………………‥‥‥‥‥‥・・・・‥‥‥‥‥‥……………………



ロザンヌさんの活動・軌跡については、日本の書籍では、下記がおススメです。
続きを読む
posted by miyohiro at 23:32| Comment(0) | TrackBack(1) | ビジネスコレクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月11日

貧困層に購買力は無いか。

前回「中国に13億人の市場は存在するか」というテーマで簡単な記事を書きました

その記事の続きです。

13億幻想論者の主張の中に、

沿岸部の比較的豊かな層以外は、農村部を中心とした未だに貧困にあえぐ層であり、食べることで精一杯の彼らに購買力は無い

というものがありました。

農村部の9億人は、本当に購買力が無く、ビジネスのターゲットと見なすべきではないのでしょうか。


この問題を考える上で、中国の事例ではありませんが、非常に参考とすべき事例があります。

バングラデシュの、グラミンフォンというビジネスモデルです。

グラミンフォンは、グラミン銀行でのマイクロクレジットの先駆的な取り組みや、それによってノーベル平和賞を受賞したことで有名な、ムハマド・ユヌス氏の発案で設立された会社です。

「ノーベル平和賞のムハマド・ユヌス氏とは?」


今日、人類の約半数が、安定した電話通信サービスを受けることができない状況にあるそうです。
都市部の有線通信網を農村へ引いてくるには莫大な投資が必要ですし、投資額を回収できる見込みも無いため、全く普及が進んでいませんでした。


そこで、グラミンフォンは、バングラデシュの農村部の貧困層へ、電話サービスへのアクセスを提供することを目的として設立されました。

この層の平均所得は、年収にして約3万円程度。通常の電話サービスは使えない所得水準です。

しかし、グラミンフォンは、この世界に電話へのアクセスの普及と、莫大な収益を実現させました。

詳しいビジネスモデルはまた別の機会に紹介したいと思いますが、簡単に言うと下記の要領です。

グラミン銀行が、農村の貧しい女性に小額の融資をする。

女性は、そのお金で、グラミンフォンから携帯電話一台と、ソーラー式の充電器一台を買う。

この女性が、その携帯電話で「電話屋さん」を村に開き、村人に電話利用サービスを提供する。

同じ仕組みを、全国展開、

2006年には農村の全人口の半数を超える1億人以上が電話を利用できるようになり、
同社の純利益は2億ドル近くにまで伸び、50万人以上の雇用を創出した。

この強烈な取り組みは、現在さまざまな方面での応用展開が研究されており、
インドや中国での実施が実現されれば、何百億ドルものビジネスになる可能性があるそうです。

実はこの取り組みは、実現されるまでに、北欧の電話通信会社や日本の商社の協力などがあって、さまざまな障害を乗り越えることができているのですが、要は、

・貧困層はお金が無いから物が買えない
・農村部にサービスを届けるインフラを構築することは採算に合わない

という従来の認識は揺らいできているということです。

この認識を覆すカギは、

・技術と、(農村部へ無線を飛ばす)
・起業家と、(電話屋さんを開く女性)
・わずかな投資/融資 (マイクロクレジット)

です。(括弧内は今回紹介したケースでの要素)


中国でこの事例がすぐさま当てはまるかというと、そこまで単純な話ではないと思っています。
きっと、多くの障害があるでしょうし、でもそれを乗り越えることもやはりできるんじゃないかなとも思っています。

もう一方で、中国の農村も、貧しいばかりではなくなってきています。

十数年前の中国では、天安門広場と毛沢東を一目見ようと北京に上京してきた農民は、見るからに貧しいボロボロの格好の人が多かったそうです。

今も、天安門広場と毛沢東を一目見ようと上京してくる農民の方は多いそうですが、その身なりは意外と小奇麗で、手にはデジカメを持っているそうです。

都市部と農村の格差が激しく問題なのは事実ですが、都市部と比べれば緩やかながら、農村部も確かに、成長を続けてきています。

農村部も、上にあげたグラミンフォンの事例のような意味でなく、ごく一般的な感覚からしても、購買力旺盛な勢力として台頭してくる日も、そう遠くないのかもしれません。
posted by miyohiro at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月09日

中国に13億人の市場は存在するか。

中国の魅力を語る際の最も代表的なイメージとして、

その市場の巨大さ、が挙げられると思います。

「13億人が一人一円ずつお金を出したら13億円」

「人口のわずか0.1%、千人に一人の人しか買ってくれなくてもミリオンヒット」

こういった具合です。


しかし、中国通や、真剣に中国ビジネスに取り組んでいる人々の間では、

「13億の市場など存在しない」

というのはもはや定説になっています。

以下これを13億幻想論とでも呼びましょう。

これは一体どういうことなのか。


13億幻想論者は、主に以下の2派に分かれるように思います。


■13億市場はあるのかもしれないが、決してそこには届きはしないという意味で幻想派。

・中国は法治国家の体をなしておらず、人治国家とでも呼べる状態のため、まっとうにビジネスを進めることができない。

・知的財産が守られず、低価格で(且つ粗悪な)コピー商品などが出回り、市場を掴むことができない。

→13億人を相手に商売などまともにやったらできはしない。

法による保護が期待できない上に、所謂袖の下のやり取りが罷り通り、それがなければビジネスが進まなかったり、それが上手い人々が勝ちあがったりする市場では、フェアな競争など不可能だという主張です。

従来は、こちらの派閥が主流でした。(今でも根強く残っていますが)


90年代に中国進出を目指した日本企業の失敗事例などを語る際に、上記の主張がよく使われているように思います。


もう一方の派閥は、

■実際問題として、13億の市場など存在しない派。

・中国の都市部と農村部の格差は激しく、一つの市場としてまとめてみることはできない。

・都市部の人口は4億人程度であり、まともな購買力を持つのは都市人口のみである。

・中国の国土は広すぎて、経済は都市毎に分断されている。ある都市で事業を展開できたとしても、それを全国に広げていくのは至難の業であり、高い可能性でその間に事業が疲弊してしまうだろう。

・各都市毎に経済・市場が分断されているとすれば、最大規模の上海市場でも1300万人市場でしかない。

これらは直接的な障害ではないはずですが、中国を13億人の超巨大市場と捉えていると確かに躓いてしまうポイントであると思います。

前者(市場には届かない派)のような状況は今も確かにあるのですが、私が中国で接する若手の経営者たちを見ていると、そういった世界も次第に主流ではなくなっていくのかもしれないと感じることがあります。

後者(実際存在しない派)は、より私個人の実感にも近いです。

ただ、沿岸部の4億人はそれ自体で非常に大きな経済圏であり、人数だけで言えば、世界の消費ピラミッドの頂点にあるアメリカ市場の3億よりも大きな経済圏であることになります。

13億幻想論者の中には、市場規模が13億に達しないという結論からやや飛躍し、「中国はそれほど魅力的な市場ではないよ」という論調もありますが、私には4億というのは非常に大きな市場に思えます。

ここで一点、注目しておくべきポイントがあります。

都市部には4億人の市場。では残りの9億人は本当に市場として見る価値が無いのかどうか。

次回の記事で、この問題について触れてみたいと思います。
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タグ:BOP 中国
posted by miyohiro at 11:24| Comment(2) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月03日

太陽電池ビジネス-NPC-

最近、どこへ行ってもグリーンテック(環境関連技術)の投資が熱いという話を聞けますが、先日そのグリーンテックの代表格である太陽光発電技術に関わる企業の話を聞くことができました。

太陽電池の製造装置を開発・販売している株式会社エヌ・ピー・シーの橋本専務の話だったのですが、同社は太陽電池モジュールの製造装置で世界トップシェアを誇り、同業界で数々の世界標準を打ち出しています。

太陽光発電と言えば、私が子供の頃から既に未来のエネルギーとして知られていました。

今ではよりクリーンなエネルギーとして、風力発電や燃料電池など、いくつかの種類の技術が有力視されていますが、依然として太陽光発電はそのクリーンさから、クリーンエネルギーの代表格とされています。

同時に、数十年前から技術としては世に出ていた太陽光発電は、いつまでたっても実用化されない印象もありました。

太陽光発電はエネルギーの変換効率が悪く、生産される電力に対して発電コストが高すぎたためです。
これまで何度か太陽電池ブームが起こったそうですが、結局高すぎるコストを実用レベルにまで下げるに到らず、未だ実用化できずにいるそうです。

橋本氏によると、まだまだ太陽光発電による電力のコストは、既存の電力インフラと競争できる水準にまで下がっておらず、今後もしばらくは既存の電力インフラを完全に置き換えるような存在になることはないという認識とのこと。

しかし、一方で、5年以内にこの太陽光発電の発電コストと電力売上が同等になる、つまり太陽光発電が史上初めて電力ビジネスとして採算に乗る状態になると見込まれているそうです。これを「グリッドパリティに達する」と言うそうです。

この点の詳しい解説は下記リンクを参照ください。
「太陽光発電:5年後にグリッド電力と競合へ」
http://www.sijapan.com/issue/2008/05/lo86kc0000001bh8.html

一旦グリッドパリティが達成されれば、太陽電池への需要は爆発的に伸びると予想されています。冒頭のnpc社はその時代を見据えて、十数年前から準備を進めてきたというのですから、その忍耐力たるや凄まじいものです。

また、話は変わりますが、橋本氏の話の中で特に面白いなと思ったのが、太陽電池の国際取引では発電装置にいくら製造コストがかかったかや、どのような機構でつくられているかなどは、太陽電池の価格には影響せず、価格を決定するロジックはシンプルに、1wattいくら、という計算だそうです。

つまり、その太陽電池が出力できる電力に応じて、価格が自動的に決定される仕組み。

この仕組みであれば、メーカーにはとにかく電力の変換効率を高めたいという開発上のインセンティブが働きます。

このような「価格」という非常にシンプルで明快なビジネスの指標で、業界そのものが目指す方向性を決定付け、導いているのは本当に素晴らしいと思いました。

電力業界に限らず、このように参加者へのインセンティブがそのまま実現したい目標と結びつくような仕組みづくりが可能な場面というのは数多くありそうです。

太陽光発電そのものの実用化が近いという話だけでも面白かったのですが、業界特有の採算に対する考え方や予想の立て方、未来を実現する仕組みづくりなど、ビジネスの講義としても非常に有意義なお話でした。
posted by miyohiro at 10:17| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネスコレクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月29日

初フットサル

今回は、あまりビジネスに関係ある話でも、ためになる話でもなく、単なる私の私生活の話です。

昨夜、人生で初めてフットサルをやりました。

フットサルどころか、サッカーも学生の頃体育の授業でやったことしかないのですが、会社のメンバーにサッカー好きがいて、誘ってもらえたので、せっかくなので参加してみた、という経緯です。

球技は基本的に苦手なのですが、スポートは大好きなので、東京にいる間も気軽に身体を動かせる機会がほしいと思っていたところでした。

フットサルは、サッカーと違って5対5のプレーヤーで、バスケットコートほどの広さのフィールドでプレイするゲームで、あまり走り慣れていなくても、ボールに触れるチャンスが多く、とても楽しめました。ちょっとハマりそうです。


この日は、ソウエクスペリエンス株式会社の西村社長が主催するフットサルサークル@渋谷と、我らがフオジンの切り込み隊長平野が主催するフットサルサークル@大崎の、二つの会に連続して参加してきました。

この日初めて目にしたのですが、弊社取締役の鶴が、上手いこと上手いこと。本当に驚いてしまいました。本人曰く、高校までサッカーを真剣にやっていた人々の中で標準的な水準、とのことでしたが、素晴らしい動きでした。
あんなによく動きまわる彼を見たのが初めてだったのでとっても意外で新鮮でした。

私は完全な初心者で、まだまだボールに上手く対応できませんが、今後も参加を続けてなんとか食らいついていけるようになりたいと思いました。

もし都内でフットサルをされる場合は、是非お声がけください!

下記リンクは、フットサルとサッカーのルールの違いをまとめた表です。色々と初めて知りました・・・
http://futsal.sskamo.co.jp/about/soccer.html
posted by miyohiro at 17:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 心に一滴。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月26日

グレートファイアウォール of China

中国のネット規制はどうなっているか、という質問をよく受けます。

実際、中国では、国内外のウェブサイトにアクセスできないことがよくあります。

サイトにアクセスしようとすると、

404 NotFound

503 Service Unavailable

などといった、httpのエラーメッセージが表示され、それが検閲の結果なのか、
本当にネットワークエラーなのか分かりません。

最初、wikipediaやgeocitiesドメインのサイトは全て見ることができないことに気づき、その後googleの検索結果のキャッシュ機能やイメージ検索など、多くのサイトで同様の現象が起こっていることに気づきました。wikipediaはこの春くらいから閲覧可能になっていることに気づきましたが、googleキャッシュなどは、私が中国に渡ってからの3年半、一貫して使用不可です。

これはどういうことなのか。

確かなところは、正式な情報ソースにあたってみたわけではないので分かりませんが、

巷でよく言われているのは、「金盾(きんじゅん、ジンドゥン)」という総合情報統制システムが働いていて、人々のネットの利用状況やアクセス、通信内容などを監視・コントロールしているというものです。

金盾は、かつての中国を守るために建造された万里の長城(グレートウォール)と、ネットの脅威からパソコンを守るファイアウォールをかけて、通称グレートファイアウォールなどと呼ばれています。

開発には日本円にして780億円を投じ、サンやシスコ、マイクロソフトと言った大手米国企業が関わったそうです。

このシステムは、中国国内のネット通信の内容を悉く監視しているそうで、ホームページの内容等だけでなく、ユーザーがネット回線を通して行った通信、つまり、検索キーワードやブログの投稿内容なども監視できてしまうとか。

特定のキーワードが組み合わされて使われている場合にのみ通信やコンテンツの表示を遮断することができるなど、優秀な人工知能機能も実装されているそうです。

こういった機能の成果は、私も目にしたことがあります。

中国国内で、あるキーワードを検索にかけた際、画面が表示され始めていたにも関わらず、ロードの途中で強制的に画面がエラー表示になり、そのまま数分間はネット自体にアクセスできなくなりました。

その後も、別の時間帯や場所で同じキーワードで同様の検索をした際、全く同じ現象が起こりました。

ちょっと怖い話ですが、今の中国はこうでもしないと統制できないのかもしれません。

ウィキペディアで、金盾についてよくまとまっています。興味ある方は参照ください。
現時点でアクセスできないサイトのリストなどもあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E7%9B%BE
個人的には、写真投稿サイトのflickrにアクセスできないのがとっても厳しいです。

サイトが中国国内からアクセス規制にあっているかどうか、リアルタイムで確認できるサイトがあったのですが、今リンクをたどってみると、ここも中国の規制対象となったようです。(サイトは存在しています。管理チームが、規制対象になったので確認ツールを提供できない、とコメントしています。)
http://www.greatfirewallofchina.org/test/
posted by miyohiro at 10:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月21日

大連視察ツアーのダイジェスト動画

先日の大連視察ツアーの参加者であり、公私共にも大変お世話になっている、
furugohri brothersの古郡さんが、先日のツアーで撮影された写真を
キレイな動画にしてyoutubeにアップロードしてくれていました。

弊社スタッフの良い表情や、大連企業の内部の様子などが、雰囲気良く
伝わっていると思います。

古郡さんの許可を得て、ここに転載します。どうぞご覧ください。

タグ:大連
posted by miyohiro at 10:12| Comment(0) | TrackBack(0) | フオジンのサービス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月20日

If It's Not Happening, It's Because You're Not Doing It

If It's Not Happening, It's Because You're Not Doing It.

直訳すると、こんな感じでしょうか。

「もし何かが実現していないとすれば、それは自分が何もしていないからだ」


広尾で研修医として勤める友人とのメールのやり取りで、彼が引用した言葉です。

彼には、研修医にとって必要とされるあるサービスについて、日本でも
実現される必要があるというアイデアがあり、それについて意見交換を
していたのでした。

彼からのメールから抜粋します。

-------------------------------------------------------------
今年中には始められるように計画してみます。
周りの研修医とのコネクションもそれなりにあるし、研修医が
主体になってこういうの始めなきゃいけないと思うんだよね。

そういうサイトがあるといいだろうなぁってちょっと前から思って
たんだけど、World is flat[邦題:フラット化する世界]のフリ
ードマンが言うとおり、'If It's Not Happening, It's
Because You're Not Doing It"なんだよね。
-------------------------------------------------------------

研修医というのはとてつもなく多忙な職業で、そんな中、ビジネスとは
縁の薄い彼からこんなにベンチャースピリット溢れる考えや言葉を
聞かされるとは思わなかったので、少し感動してしまいました。

何かが起こっていない現状を変えるために、自分がそれを起こしていく。
今、行動を起こす。

今の自分にとても必要な言葉でした。
posted by miyohiro at 12:55| Comment(2) | TrackBack(0) | 賢者の至言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月12日

ペルセウス座流星群

年間三大流星群のペルセウス座流星群が今年もやってきます。

毎年8月13日前後に極大を迎えるペルセウス座流星群の今年の極大は8月12日夜、つまり今夜です。

21時頃が流星群としてのピークらしいのですが、その時間帯は月も出ているそうで、もしかしたら月の明かりでそこまではっきりと見えないかもしれません。

月が沈む、午前1時頃が最適とのことです。

天文情報満載の、AstroArtsのサイトに特集があります。参考にしてみてください。

http://www.astroarts.co.jp/special/perseids2008/index-j.shtml


東京の街明かりでは、わずかしか見ることができないかもしれませんが、一時頭を空っぽにして、神秘的な流星の光を楽しみたいと思います。
posted by miyohiro at 13:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 心に一滴。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
フオジンオフィシャルウェブ:http://www.huojin.com
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