2010年09月15日

大連タクシーの運転手に学ぶ

前回、タクシー事情について書きましたが、大連のタクシーは使い辛いなどとそんなしょうもないことが書きたかったからではなく、今回の記事で書きたかったことの前提状況を共有しておきたかったためです。

以下本題。

昨日、夕方タクシーに乗ることがあった。午後5時過ぎ、ラッシュのピークの時間帯だったので、20分くらい捕まらないことを覚悟していた。

1台目のタクシーには先客がいたので、相乗り前提で止めてみる。運転手が車内から叫ぶ。
「行き先はどこだ!?」「中山区だ」「ダメだ!」しかめ面で吐き捨てるように叫んで去っていく。

2台目もダメ元で止める。今度は自分から、「中山区に行きたい」と叫ぶ。
すると、「東北財経大学方面だが、それでもいいか?」と聞いてきた。

先客の行き先を敢えて言わずに乗せて、えらく遠回りさせる運転手も多い中、親切だな、と思った。

乗る、と告げて乗り込むと、「遠回りさせて悪いな!ホントにありがとう!!」と快活に言う。
実際は、たいした回り道じゃない。1メーター分違いがあるかどうか、という距離だ。
こんなことで礼を言われたのは初めてだったので面食らった。

助手席の先客とも、えらく楽しげに話をしている。気づくと彼らの会話に混ぜられ3人で談笑していた。運転手のペース。

東財大学前で先客を降ろす際、その先客と握手をしながらしきりに「貴方と会えて光栄だ!」と繰り返していた。

光栄、とはまた大げさなので聞いてみた。あの人は有名人なのか、と。すると

「いや、普通の人だよ。だけど今のお客さんは世界に一人だ、だから特別だ。
楽しく運転させてもらったから、彼に感謝だ。」と言って笑った。

運転手は、私に「普段は目的地までいくらかかるか」を聞いた。私がいつも25,6元で到着すると思う、

と答えると、「それなら最大25元払えばいい、25元を超えても25元、25元以下ならその金額を払えばいい」

と言って運転を再開した。

車がまた走り出したところで、急に日本語で話し出した。

「モシカシテ、アナタ、ニホンジンデスカ!?ワタシ、ニホンゴ、スコシ、ベンキョウシマス」

日本語が少し話せる運転手は稀にいる。けど、この人は運転手にはなかなかいないくらい上手かった。

日本で仕事でもしてたことがあるのかと思い、どこで勉強したのか、と聞くと、

「息子が今天津の大学に通って日本語を勉強している。だから私も興味を持って、仕事が終わった後、毎日勉強している。頭がよくないから、とても大変だ!」

と言った。そうは言いつつも、独学としては凄い成果だ。


そのまま談笑を続けたけども、終始ホントに楽しげなのでまた聞いてみた。この仕事が楽しそうだが、やはり仕事は好きか?

「いやいや、生活のためだよ。皆そうだろう。貴方もそうだろう。私も生活と息子のために、毎日がんばっているよ。辛いし大変だが、毎日頑張らなくちゃいけないだろう?」

と言いながら、ちからこぶを作って見せて笑った。そして

「同じ頑張るなら、楽しく頑張ったほうがいいに決まっている。だから私は私の仕事を楽しむ。」

と続けた。

一瞬言葉を失ってしまった。

そういうことを語る本や「偉い人」は多い。だけど、本当に日々額に汗して働く人が、まさに仕事中のその時に、それを語っていることに素直に感動した。

先ほどの25元上限の話を思い出して、貴方はなぜそんなにも仕事に誠実なのか、と聞いた。

すると、「信頼のためだ。仕事は信頼が一番大切だろう。信頼されるためには誠実になるしかない。」

私はまたもや驚きながらも、「他の運転手にはそう思っている人は少ない。私も貴方が誠実だと思っても次に貴方の車に乗る機会は無いかもしれない。そういう風に思うことはないのか?」と聞く。

「私は私にできることをやることが大切。いつかお客さんが皆タクシーは安心だと思ってもらうためには、一人一人が頑張らないといけない。私にはそれしかできないしね!」と言って、また笑った。


結局目的地にはメーター26元で着いた。私は26元を渡したが、彼は25元しか受け取らなかった。おまけに、おつりとして1元返すと言う。何の割引だ?と聞くと、「遠回りで時間かかってしまった、そのお詫びだよ!」と言う。結局その1元は受け取らなかったが、とてもいい気分にしてもらった。

たった1元のオファーで、客をこんなにいい気分で降ろせるこの人は、サービサーとして一流だ、と思った。

降りる際には、「食事と運動に気をつけて、健康でいるんだよ、月に1,2回は両親に電話するんだよ、子供が海外にいたら親はとても心配なんだよ!」と言ってくれた。

私も、5年間大連で仕事をして初めて、運転手に心から「運転気をつけて!」と叫んで見送った。

何と言う30分だっただろう、ホントに勉強になることばかりだった。


この人は特殊かも知れないけども、それほど特殊じゃなくなる日も来ると思う。

大連サービス業の未来は明るい。
posted by miyohiro at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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