2008年10月01日

フェアトレードは誰のためのビジネスか。1−サフィア・ミニーさんへ

前回、フェアトレードというビジネスを紹介する記事を書きました。


今回は、先日サフィア・ミニーさんという、前回の記事でも紹介した日本のフェアトレードの第一人者の一人とも呼べる方とお会いし、少し意見を交換する機会があったので、その際に思ったことを書こうと思います。

私が参加したのは、サフィアさんが、サフィアさんの事業と支援しているバングラデシュのアパレル工場の事業を紹介するセミナーのようなものでした。その時の様子を、サフィアさんご本人がブログに書いています。


http://www.peopletree.co.jp/cp-bin/blog/index.php?eid=67


この記事でも触れられていますが、サフィアさんたちは、フェアトレードがMDGs(ミレニアム開発目標)の達成に重要な役割を果たすと述べています。


外務省ウェブサイト MDGs(ミレニアム開発目標)とは:
http://www.mofa.go.jp/Mofaj/gaiko/oda/doukou/mdgs.html



この場の質疑応答で、自分も質問させてもらったのですが、会場の使用時間が過ぎてしまい、回答を得られないまま終了してしまいました。


回答は、ブログで書くからと言われ、実際に書いてくださったのが上記の記事です。


ただ、その時はブログの記事を待てず、他にも聞きたいことがあったので、帰り際にサフィアさんを捕まえて、10分ほど意見交換の時間を頂きました。


後で詳述しますが、フェアトレードというビジネスモデルに対して、ある問題意識を持っていたので、それに対する意見を実際の実行者から聞きたかったのです。


サフィアさんのブログでも取り上げてもらった質問ですが、私の意図を端的に言うと、

「フェアトレードは少数の先進国の人々からお金をもらい、少数の貧しい人々を支援しているならば、世界の貧困に取り組むという大きな目標に対して、あまりにも効果が薄いのではないか」

ということです。


これに対して、サフィアさんは、


>小規模グループの継続的な支援を通して、生産者の活動の幅を少しずつ広げていくことができます。


>立場の弱い小規模グループの生産者に仕事の機会を創り出し、手仕事の伝統技術を活かした商品作りを通して、自立支援をする必要があるのです。


>そういった状況を私たちはただ気の毒に思うのではなく、行動に移して、貧しい農民やそういった人びとを支援する団体から商品を購入することによって支援できるのです。


と、このように答えています。


言うまでもなく、これは素晴らしい取り組みです。私も憧れる、フェアトレードの真髄です。


しかし、私の疑問とは、こういう取り組みを行なっているということを知った上でのものなのです。


こういう取り組みで貧困から脱することができる人々もいる。


しかし、それができるのは、こういったフェアトレード団体に手を差し伸べられた人々だけなのではないか。


最初は少数の人しか支援できなくても、いずれは大きな人数に対して大きな影響力を持っていくという考えなのでしょうか。



しかし、フェアトレードというモデルにおいて最も問題なのは、それが「経済的に合理的ではない」という点です。
経済的に合理的でないものが、広がっていくことはとても困難です。


まずフェアトレードの負の側面として、買い付けにおいてフェアトレードがすることというのは、言ってしまえば人為的な価格維持です。

価格維持によって守られる産業は長期的に需給バランスへの対応力を弱め、競争による改善インセンティブを弱め、しいては市場の中での競争力が弱まっていくというのが、市場原理というものです。


そして消費の観点から言えば、そもそもなぜ、人々がわざわざ安くない値段のフェアトレード製品を買うことになるのか。


サフィアさんは「本来支払われなくてはならない環境コストや、人権を守るためのコストを、これからの消費者は負担しなくてはならないのだから、単純に高いというわけではない」と反論されました。


しかし、必要なコストを含めなくてはならないから高くてもいい、というのであれば、世の中の製品やサービスというのは際限なく高くなっていくだけです。


それでは、売れるものも売れなくなってしまうのではないでしょうか。

通常の企業であれば、新しい価値を生み出しつつ、価格が上がらないような努力をするのではないでしょうか。


フェアトレードで言えば、「環境コストも人権コストも含んだ、なのに、従来よりも断然安い。」こうなって初めて、「イノベーション」と呼べる気がします。


もしこういったイノベーションが無く、意義のある消費という点だけが魅力となり、従来よりも高い価格で買っても良いと思える層というのは、世界を見渡して、どれほどいるのでしょうか。


貧困という問題の巨大さを考えると、悲しいことにこれはとても小さなパイであり、そこから集められるお金の量では、手を差し伸べられる範囲の人々しか支援できないのではないか、というのが私の見方です。



誤解の無い様に言いますが、私はフェアトレードそのものは支持しています。

ただ、その意義の位置づけがズレているのではないか、という(瑣末と言えば瑣末な)問題意識を持っています。


長くなってしまっているので、フェアトレードの特徴や、それをどう捉えるかという問題を整理した記事をまた書こうと思います。

 
<追記 2008/10/02>
この記事の続きを
http://blog.huojin.com/article/107473363.html
に書きました。
 
posted by miyohiro at 11:02| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネスコレクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/107410207
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
フオジンオフィシャルウェブ:http://www.huojin.com
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。