前回の記事で、ホームレスをビジネスの手法で減らす活動をしているロザンヌ・ハガティーさんを紹介しました。
今回は、ロザンヌさんと交わしたやりとりについて書きたいと思います。
前回の記事でも少し触れましたが、私の知人に、東京新宿でホームレス支援の活動をしている女性がいます。彼女が現在取り組んでいる活動は、着想と、事の本質が、ロザンヌさんの手法と非常に似通っています。
この方の紹介を、後日個別のエントリーで詳しく記したいのですが、とにかくその方が言っていたことでとても印象に残っていたことがありました。
それは、今東京のホームレス支援者の傾向は大きく二つに分かれていると感じること。
ホームレス問題そのものを根本的に解決したいと志向する人と、
ホームレス支援を自分のアイデンティティの表現にしている人。
彼女が日々様々な困難にぶつかる中で、感じていることだそうです。
そして時に、後者の人々が、必ずしも良き協力者となれていない現状があるようです。
そこで、この問題をロザンヌさんにぶつけてみました。
後者の人々も、本質的には善意の人々であるはずです。
では、どうすればそういった人々を、本来協力が必要な方向へ巻き込んでいけるのか。
ロザンヌさんも、やはり同様のことを感じながら、長い間悩みながら活動していたそうです。
例えば、彼女が直面した事例で、ある教会が、「教会の玄関前の階段でホームレスが寝ることができる権利を保証するように」と行政を訴えたそうです。
行政が、ホームレスの人々の立ち退きを強制的に行おうとしたことに対する対抗措置なのですが、ホームレスの人々を救うために、この教会の代表の女性は「路上で寝る権利を保証」しようとしてしまっているのです。
ロザンヌさん達には、この主張が本末転倒であることは明らかだったので、この女性に根本的解決の必要性と、それに対してどう動いていけばよいか、語りかけ続けました。
最後には、この女性は自身の方向性の歪みに気づき、どうしてもっと早く正しい方向性に力を注げなかったのかと、泣き出してしまったそうです。
こういった現象は「goal displacement(目標置換:目標達成の手段が目的そのものよりも重要になってしまうこと)」として知られているそうですが、
そういった人々に、「あなたは間違っている」と指摘することは良い結果を生まないとロザンヌさんは言います。
「そういう方法よりも、こういう方法を取ることで、このような結果が得られるよ」と、代わりに何ができるかを、粘り強く示していくことが重要だと、ロザンヌさんは感じているそうです。
どのように働きかけていけば、こういった善意の人々が力を発揮できるか、その仕組みを考えて整えていくことが重要です。
講演会の後には、交流会の場が設けられ、そこでもロザンヌさんと数十分に渡り意見交換をすることができました。
ここでも、東京新宿での取り組みや、そこで何ができるか、またはどういったことでその障害を乗り越えることができそうか、色々と意見を頂きました。
彼女が強調していたのは、大切なのは「Will to Politics」であるということ。
つまり、政治的に動くことを厭わず、適切な人物へのアプローチ、適切な場での政策提言など、単に理想を掲げるだけでなく、それを実行に移し、様々な企画に行政を巻き込んでいく政治力学の応用が、もっともっと必要だと言うことです。
確かに、日本には多くの志高い活動家が多くいるとは思いますが、政治・行政に食い込んでいけるほどの活動ができているところがどれだけあるか、まだまだ少ないように思います。
この点は、非常に得心のいくアドバイスであり、早速意識していこうと思うと共に、周りの起業家達にも伝えていきたいと思います。
このロザンヌ・ハガティー氏は、素晴らしく聡明なだけでなく、非常に謙虚で誠意的な方でした。想像を遥かに凌駕する、事業家としても一人の人間としても、心から尊敬に値する方でした。ちなみにこのロザンヌさん、写真で見るより何倍も美人だったのでちょっと驚きました。
現在、このロザンヌさんと、冒頭の東京新宿でホームレス支援を行っている女性を繋げて行きたいとやり取りを進めていますが、また何か進展がありましたらここでも報告します。


