2008年09月16日

ホームレスを無くすビジネス

先週金曜日、アメリカの社会起業家の旗手とも言うべき存在である、ロザンヌ・ハガティーさんの来日講演に出席してきました。

社会起業家についてのウィキペディアの記事↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E8%B5%B7%E6%A5%AD%E5%AE%B6

ロザンヌさんが代表を務めるNPO法人コモングラウンドでは、ほぼ廃墟となり犯罪の温床となっているような建物を買い取り、綺麗なマンションへリノベートし、ホームレスの人々が「収入の3分の1」という特殊な家賃体系で借りられる、という事業を展開しています。

ホームレスの人々に必要なのは、「ホーム」である、というロザンヌさんの信念を、自ら具現化した事業です。

この事業は、今多くの賛同と資金を集め、多くのホームレスを助け、多くの収益を上げている、非の打ち所のないビジネスへと成長しています。

コモングラウンド ウェブサイト
http://www.commonground.org/Japanese/

今回は、私の知人にまさに日本版ロザンヌ・ハガティーと呼べる(と私が勝手に思っているのですが)、東京新宿のホームレス問題解決に取り組む女性がいて、彼女の事業は思うように行っていないところがあるため、是非ともその元祖であるロザンヌさん本人に会って話がしてみたかったのです。

話の内容でとても印象的だったのが、彼女のビジネスモデルはたった一枚の紙で説明できる、というくだりでした。

その一枚とは、ホームレスの保護に行政やその他の団体が費やしているコストと、コモングラウンドが費やしているコストの比較のグラフです。

数字を失念してしまったのでウェブで探してみたところ、当日同じ講演に参加されていた方のブログにありましたので参考させて頂くと

病院に収容すれば年間40万ドル、
刑務所に収容すれば年間6万ドル、
市が提供するシェルターに収容すれば年間2万ドル
のコストになるところ、
コモングラウンドの方式では、年間1万ドル強で収まる、という内容です。

また、「ホームレスをホームレスでいさせることで発生している」コストが、ホームレスを無くすために必要なコストに比べていかに大きいかを示すデータもありました。

際立っていたのは、徹底的にデータで現象と主張を示し、説得力を持たせていたところです。
彼女のベースには、それは暖かい想いが流れていることが感じられるのですが、行政や金融機関との交渉の席に見せるのは、この徹底したビジネス思考なのでしょう。

この点が、ロザンヌさんが他の慈善事業やボランティアとは一線を画している要因の一つだと思います。


次回は、ロザンヌさんと交わしたやりとりについて書こうと思います。



ロザンヌさんの略歴:
(今回の講演の案内として送られてきたメールの紹介文及び画像を転載します。)


……………………‥‥‥‥‥‥・・・・‥‥‥‥‥‥……………………rosanne.jpg
◆Rosanne Haggerty
(Founder and President, Common Ground )


 ホームレスへの支援を通じて、地域社会の活性化に貢献するプログラムを独創的な手法で実現している、コモン・グラウンドの創業者、ロザンヌ・ハガティ氏。

 名門アマースト大学を主席卒業後、ニューヨークの教会で1年間ホームレス支援のボランティアをしていたハガティ氏は、このままでは問題の根本的な解決にはつながらないと考え、一つのアイデアを思いつく。それはニューヨークの中心、タイムズ・スクエアにある中古ホテルを改装し、ホームレスに安価で住居を提供、同時にヘルスケア、就業支援サービスを行うというものだった。

 何のバックグラウンドも資産も持たない氏は、その資金の融資を市に申請。粘り強い交渉の末、市長直々から融資の承認を受けたコモン・グラウンドの取り組みは、現在ではニューヨーク市を中心に他地域にも展開し、その規模は2000室以上に及ぶ。そして、最初に取り組んだタイムズ・スクエア周辺では、ホームレスが87%減り、同時に犯罪率も激減(殺人100%、窃盗80%減少)、安全な街として不動産価値も大きく上がり、地域に貢献するなど、大きな成果を生み出している。

 また、この取り組みのもう一つの側面は、その事業性。非常に快適な部屋や充実したサービスを提供しながらも、市がシェルターや刑務所、病院でホームレスを受け入れるコストよりも格段に低いコストで運営を実現。

 その一方で、年間収入1500万ドル(うち事業収入が7割)、収益118万ドルを実現している。上記の犯罪率の低下など、見えづらい活動の成果を数値化し、コミュニケーションすることで社会的投資を呼び込むという事業的方法論を用い、効率的な運営を進め、同時に、持続的に活動が行える体制を整え、社会課題をその根本から解決する活動を大きく展開する、まさに事業と社会性を融合させた社会起業家の好事例であるといえる。

 2000年以来、度々来日し、日本の社会や文化に特別な思い入れを持つ。

……………………‥‥‥‥‥‥・・・・‥‥‥‥‥‥……………………



ロザンヌさんの活動・軌跡については、日本の書籍では、下記がおススメです。
2008/09/18に、この記事に続きを書きました。
http://blog.huojin.com/article/106736848.html
posted by miyohiro at 23:32| Comment(0) | TrackBack(1) | ビジネスコレクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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ロザンヌ・ハガティ氏講演会での1枚
Excerpt: 日が空いてしまいましたが、 月の見える会議室、新生銀行本社ビル20Fで行われた、 コモングラウンド・コミュニティ主宰、ロザンヌ・ハガティ氏の 講演会に行ってきました。 逐次通訳入りで若干短めの講演は、..
Weblog: It's Real Intelligence! 4
Tracked: 2008-09-18 21:37
フオジンオフィシャルウェブ:http://www.huojin.com
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