2008年09月11日

貧困層に購買力は無いか。

前回「中国に13億人の市場は存在するか」というテーマで簡単な記事を書きました

その記事の続きです。

13億幻想論者の主張の中に、

沿岸部の比較的豊かな層以外は、農村部を中心とした未だに貧困にあえぐ層であり、食べることで精一杯の彼らに購買力は無い

というものがありました。

農村部の9億人は、本当に購買力が無く、ビジネスのターゲットと見なすべきではないのでしょうか。


この問題を考える上で、中国の事例ではありませんが、非常に参考とすべき事例があります。

バングラデシュの、グラミンフォンというビジネスモデルです。

グラミンフォンは、グラミン銀行でのマイクロクレジットの先駆的な取り組みや、それによってノーベル平和賞を受賞したことで有名な、ムハマド・ユヌス氏の発案で設立された会社です。

「ノーベル平和賞のムハマド・ユヌス氏とは?」


今日、人類の約半数が、安定した電話通信サービスを受けることができない状況にあるそうです。
都市部の有線通信網を農村へ引いてくるには莫大な投資が必要ですし、投資額を回収できる見込みも無いため、全く普及が進んでいませんでした。


そこで、グラミンフォンは、バングラデシュの農村部の貧困層へ、電話サービスへのアクセスを提供することを目的として設立されました。

この層の平均所得は、年収にして約3万円程度。通常の電話サービスは使えない所得水準です。

しかし、グラミンフォンは、この世界に電話へのアクセスの普及と、莫大な収益を実現させました。

詳しいビジネスモデルはまた別の機会に紹介したいと思いますが、簡単に言うと下記の要領です。

グラミン銀行が、農村の貧しい女性に小額の融資をする。

女性は、そのお金で、グラミンフォンから携帯電話一台と、ソーラー式の充電器一台を買う。

この女性が、その携帯電話で「電話屋さん」を村に開き、村人に電話利用サービスを提供する。

同じ仕組みを、全国展開、

2006年には農村の全人口の半数を超える1億人以上が電話を利用できるようになり、
同社の純利益は2億ドル近くにまで伸び、50万人以上の雇用を創出した。

この強烈な取り組みは、現在さまざまな方面での応用展開が研究されており、
インドや中国での実施が実現されれば、何百億ドルものビジネスになる可能性があるそうです。

実はこの取り組みは、実現されるまでに、北欧の電話通信会社や日本の商社の協力などがあって、さまざまな障害を乗り越えることができているのですが、要は、

・貧困層はお金が無いから物が買えない
・農村部にサービスを届けるインフラを構築することは採算に合わない

という従来の認識は揺らいできているということです。

この認識を覆すカギは、

・技術と、(農村部へ無線を飛ばす)
・起業家と、(電話屋さんを開く女性)
・わずかな投資/融資 (マイクロクレジット)

です。(括弧内は今回紹介したケースでの要素)


中国でこの事例がすぐさま当てはまるかというと、そこまで単純な話ではないと思っています。
きっと、多くの障害があるでしょうし、でもそれを乗り越えることもやはりできるんじゃないかなとも思っています。

もう一方で、中国の農村も、貧しいばかりではなくなってきています。

十数年前の中国では、天安門広場と毛沢東を一目見ようと北京に上京してきた農民は、見るからに貧しいボロボロの格好の人が多かったそうです。

今も、天安門広場と毛沢東を一目見ようと上京してくる農民の方は多いそうですが、その身なりは意外と小奇麗で、手にはデジカメを持っているそうです。

都市部と農村の格差が激しく問題なのは事実ですが、都市部と比べれば緩やかながら、農村部も確かに、成長を続けてきています。

農村部も、上にあげたグラミンフォンの事例のような意味でなく、ごく一般的な感覚からしても、購買力旺盛な勢力として台頭してくる日も、そう遠くないのかもしれません。
posted by miyohiro at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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